「肩こりがつらくてマッサージに通っている。その場では楽になるけど、数日で戻る。揉んでもダメなんですよね。運動とかで根本から直さないと、この繰り返しから抜けられない気がする。」
これは、実際にSTRUCTに来られる方が口を揃えて言う言葉です。そしてその通りです。先に結論をお伝えします。
あなたの肩こりが揉んでも治らないのは、原因が肩にないことが多いからです。 つらい場所は肩でも、その肩を凝らせている犯人は、胸椎(背中の背骨)・肩甲骨・呼吸——別の場所にいます。犯人を放置したまま現場(肩)だけをケアしても、戻るのは当然なのです。
この記事では、その犯人の見つけ方(セルフチェック付き)と、運動で根本から変えていく順番——評価→痛みやこりを治す運動→こらない体を作る運動——をお見せします。
本題の前に、ひとつだけ。肩こりの顔をした、別の問題が隠れていることがあります。以下に当てはまる場合は、セルフケアや運動の前に医療機関を受診してください。
腕や手のしびれ・脱力を伴う(物を落としやすくなった等)
胸の痛み・圧迫感・息苦しさと一緒に肩や腕が痛む
発熱や、経験したことのない強い頭痛を伴う
転倒や事故のあとから始まった
時間や姿勢に関係なく、安静にしていても痛みが増していく
これらに当てはまらない、デスクワークや姿勢と連動して重くなる慢性的な肩こり——大多数の方はこちらです——は、ここから先の話に進めます。
最初に言っておくと、マッサージや整体が間違っているわけではありません。「今ある筋肉の緊張を緩める」ことが守備範囲で、その仕事はきちんと果たしています。だからその場では本当に楽になる。
問題は、慢性的な肩こりの多くで、筋肉の硬さは「原因」ではなく「結果」だという点です。
肩や首の筋肉は、本来、頭と腕を支えるために働き続けています。ところが、体のどこかがサボると、その分の仕事が肩と首に上乗せされます。上乗せされた筋肉は働きすぎて硬くなる——これが肩こりの正体です。揉んで緩めても、翌日からまた同じ上乗せが続けば、同じ場所が硬くなる。「揉んでもダメだった」というあなたの経験は、原因が筋肉の硬さそのものではないことを、体が消去法で教えてくれたのです。
これは腰痛の記事でも書いた構造とまったく同じです。では、肩の場合、サボっている「犯人」はどこにいるのか。代表的な3つを紹介します。
デスクワークで長時間同じ姿勢を続けると、背中の真ん中——胸椎が丸まったまま固まります。胸椎が動かないと、頭が前に出た姿勢が定着します。
頭の重さはボウリングの球1個分ほど。それが体の真上ではなく前方にあると、首と肩の筋肉は、傾いた頭を一日中ロープで引っ張り支えるクレーンのような状態になります。硬くなるのは当然です。原因は肩ではなく、動かない胸椎の方にあります。
腕は肩甲骨という「土台」の上に乗っています。巻き肩などで肩甲骨の位置がずれたり、動きが悪くなったりすると、腕を動かすたびに土台が仕事をせず、首や肩の表層の筋肉が腕の重さを直接引き受けることになります。
マウス操作やスマホのような小さな腕の動きでも、一日に何千回。土台が働かないまま積み重なれば、首肩は疲弊します。
意外に思われるかもしれませんが、呼吸は肩こりの主要な犯人のひとつです。
本来、呼吸のメインエンジンは横隔膜です。ところがストレスや姿勢の崩れで呼吸が浅くなると、横隔膜の代わりに首まわりの筋肉が肋骨を引き上げて呼吸を補助し始めます。呼吸は1日に2万回以上。首の筋肉が2万回の内職を抱えたら、凝らないわけがありません。
「なんだか疲れやすい」も併発している方は、このパターンの可能性が高いです。
今その場でできる簡単なチェックです。鏡や壁があれば十分です。
チェック① 胸椎:座って体をひねる
椅子に座り、腕を胸の前で組んで、骨盤を動かさずに上体を左右にひねります。左右どちらかが明らかに回しにくい、または両方とも45度も回らないなら、胸椎の硬さが疑われます。
チェック② 肩甲骨:壁バンザイ
壁に背中・後頭部・お尻をつけて立ち、腕を横から上げていきます(腕も壁につけたまま)。腰が反る、腕が壁から離れる、耳の横まで上がらないなら、肩甲骨まわりの動きに制限があります。
チェック③ 呼吸:胸とお腹に手を当てる
片手を胸、片手をお腹に当てて、普段通りの呼吸を観察します。息を吸うたびに胸の手ばかり大きく動く、肩が上がるなら、浅い胸式呼吸のパターンです。
複数当てはまった方も珍しくありません。犯人は1人とは限らず、共犯のことも多いからです。
犯人が分かったら、次は順番の話です。STRUCTでは体づくりを「マイナスを0に戻すフェーズ」と「0をプラスに上げるフェーズ」の二相で考えます。肩こりがつらい今は、マイナスの地点。この段階でやるべきは、肩を鍛えることではなく、運動療法の視点で「犯人に仕事をさせ直す」トレーニングです。
ピラティスなどの手法も用いながら、先ほどの3つの犯人に対応するアプローチを紹介します。
① 呼吸を横隔膜に返す
仰向けで膝を立て、鼻から吸ってお腹と肋骨の下部が膨らむのを感じ、口から長く吐き切る。吐き切ったときにお腹の深部に自然に力が入る感覚が目印です。首の「呼吸係の内職」を解除する、すべての土台になるエクササイズです。
② 胸椎を動かす
四つ這いで背中を丸める・反らせるを繰り返す(キャット&カウ)、横向きに寝て上の腕を大きく開いて胸をひねる(オープンブック)など。固まった胸椎に「動く仕事」を思い出させ、前に出た頭が真上に戻れる条件を作ります。
③ 肩甲骨に土台の仕事をさせる
腕をただ回すのではなく、肩甲骨を「寄せる・下げる・突き出す」方向にコントロールする低負荷のエクササイズから。土台が働き始めると、首肩の表層の筋肉は腕の重さから解放されます。
大事なのは、強い負荷もきつさも必要ないということ。このフェーズで優先すべきは正確さで、「効かせる」より「正しい場所が働く感覚を取り戻す」ことが目的です。
STRUCTの場合: どの犯人から手をつけるかは、評価の結果によって一人ひとり違います。セルフチェックはあくまで入口で、実際には体験セッションの4軸評価(骨格・呼吸・動作・感覚機能)で、あなたの肩こりに関係している要素を特定してから組み立てます。また、張りが強い場合は、鍼灸や手技で先に緊張を落としてから運動に入ることもあります。評価なきトレーニングは、ただの運動だからです。
肩が楽になった——多くの方がここでやめます。そして数ヶ月後、また同じ肩こりが戻ってくる。
理由は腰痛とまったく同じで、「今こっていない」と「こらない体」は別物だからです。楽になった時点のあなたは、マイナスが0に戻っただけ。仕事が繁忙期に入る、睡眠が削られる、長時間の移動が続く——日常の変動に耐える余裕がなければ、簡単にマイナスへ逆戻りします。
だから、楽になってからが本番です。ここからは、体を強くするトレーニングに進みます。
胸椎・肩甲骨が正しく動くパターンのまま、背中や体幹を段階的に強化していく
長時間のデスクワークでも姿勢が崩れない筋持久力の「貯金」を作る
肩を気にしてストレッチを欠かせない生活から、肩のことを忘れて仕事に集中できる状態へ
STRUCTが掲げているのは「体のマイナスを0に、0をプラスに」。鍼灸や手技で緊張を落とし(マイナスを0へ)、運動で使い方を変えて強くする(0をプラスへ)——この両面を一人のトレーナーが続けて見られることが、「揉んで終わり」とも「鍛えて終わり」とも違う点です。
この記事のセルフチェックとエクササイズは、今日から一人で始められます。まず試してみてください。
ただ、正直にお伝えすると、自己流には壁があります。自分の犯人がどれなのか、エクササイズが正しくできているのかは、外から評価しないと分からないのです。呼吸のエクササイズのつもりが首に力が入ったままだったり、原因と違う場所を熱心に動かし続けていたり——変化が出ないと「やっぱり運動でもダメか」と、正しい方向ごと諦めてしまうのが一番もったいない。
STRUCTのトレーナーは、鍼灸師(医療系国家資格)とアスレティックトレーナー(JSPO-AT)の資格を持ち、触れて評価し、段階的に運動を設計する訓練を受けています。詳しくは鍼灸師×アスレティックトレーナーがパーソナルトレーニングを行う意味をご覧ください。
最後に整理します。
受診サインの確認(該当すれば病院へ)
原因探し:胸椎・肩甲骨・呼吸——原因は肩の外にあることが多い(セルフチェックで当たりをつける)
マイナス→0:運動療法の視点で、犯人に仕事をさせ直す
0→プラス:こらない体を作り、肩のことを忘れて過ごせる状態へ
マッサージに通い続けた時間とお金は、無駄ではありません。「揉むだけでは戻る」と分かったからこそ、次の一手が運動だと確信できているのですから。
自分の犯人がどれか、今の状態で何から始めればいいか——そこはオンラインの無料カウンセリングで直接お聞きください。セルフチェックの結果を教えていただければ、それを踏まえた見立てをお伝えします。
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狩野 宏多|Kota Karino
STRUCT Conditioning代表トレーナー
鍼灸師 / 日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー / NASM-PES
トレーニング・徒手療法・食事や睡眠など生活習慣指導を包括的に組み合わせたアプローチで、お客様の不調を改善するコンディショニングの専門家。慢性的な痛みや、疲れやすい、体力がないといったお悩みを解消しQOL(生活の質)を向上させます。
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狩野 宏多|Kota Karino
STRUCT Conditioning代表トレーナー
鍼灸師 / 日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー / NASM-PES
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