「写真を見ると、肩が前へ入っている」
「胸を伸ばした直後は楽だけれど、仕事を始めると元へ戻る」
一般に「巻き肩」と呼ばれるのは、肩が身体の前方へ位置して見える状態です。ただし、巻き肩は病名ではなく、肩の位置だけで痛みや不調の原因を判断することはできません。
デスクワークでは、キーボードやスマートフォンへ手を伸ばすため、肩甲骨が外側へ動くのは自然なことです。問題になりやすいのは、その姿勢が長時間続くことや、姿勢を変えたいときに胸椎・肩・肩甲骨を動かしにくいことです。
この記事では、巻き肩に関係し得る要素、簡単なセルフチェック、ストレッチとトレーニングの進め方をまとめて解説します。
巻き肩には、次のような要素が関係する場合があります。
キーボード、マウス、スマートフォンを使うとき、肩甲骨は肋骨の上を外側へ動きます。この位置自体が悪いのではありませんが、休憩が少なく、同じ姿勢が続くと首・肩・胸まわりに疲労やこわばりを感じることがあります。
肩甲骨は肋骨の上を動き、腕の動きに合わせて位置や向きを変えます。胸椎を反らす・回す動きや、腕を頭上へ上げる機会が少ない生活では、動きにくさを感じることがあります。
胸のストレッチで一時的に動きやすくなっても、肩まわりや体幹の筋力・持久力が十分でなければ、長時間の作業で疲れやすくなる場合があります。
ただし、「背中の筋肉が弱いから巻き肩になる」「胸の筋肉が短いから肩が前へ出る」と全員共通の原因にすることはできません。
頭部や胸郭の位置によって呼吸機能の測定値が変化した小規模研究はあります。また、呼吸のたびに肩が大きく上がる方では、首・肩の緊張を自覚しやすい場合があります。
一方で、「浅い呼吸が巻き肩をつくる」「横隔膜を使えなければ改善しない」と断定できる根拠はありません。呼吸は確認する要素の一つであり、全員が最初に呼吸練習を行う必要はありません。
猫背と巻き肩の違いや、胸を張り続けることの問題点は、猫背改善に「胸を張る」は逆効果|姿勢を決める本当の要素で詳しく解説しています。
セルフチェックは診断ではありません。左右差や動かしにくさ、痛みの有無を確認し、取り組みの前後を比べるために使います。
普段どおりに立ち、正面と横から写真を撮ります。胸を張る、肩を引く、あごを強く引くといった修正は行いません。
肩の高さや左右差、頭・胸・腕の位置を確認します。「肩がこの線より前なら異常」と判定するのではなく、1〜2か月後に同じ条件で比較する記録にします。
床やベッドへ仰向けになり、腕を身体の横へ置いて力を抜きます。肩の後ろ側と床の距離に大きな左右差がないか、首や肩が苦しくないかを確認します。
肩が床から浮くことだけで巻き肩とは判断できません。骨格、筋肉量、寝具などでも変わるため、無理に肩を床へ押しつけないでください。
立位または仰向けで、痛みのない範囲まで両腕を上げます。
肩がすくむ、腰を大きく反らす、左右差がある、途中で痛むといった点を確認します。痛みやしびれが出た場合は中止してください。
2024年の系統的レビューでは、運動によって前方頭位、巻き肩、胸椎後弯などの姿勢指標が変化する可能性が報告されています。ただし、研究ごとに対象者や運動内容が異なり、すべての人に共通する最適な方法は分かっていません。
次の3ステップは、絶対に守る順番ではありません。動かしにくさと筋力の状態に合わせ、並行して進めます。
エクササイズを追加する前に、肩が前へ出た状態が続く時間を分けます。
ノートPCは台へ載せ、可能なら外付けキーボードを使う
マウスやキーボードを身体から遠ざけすぎない
スマートフォンを見る位置を、ときどき高くする
会議や作業の区切りで、立つ・歩く・腕を上げる
背もたれを使う姿勢と、前へ座る姿勢を切り替える
一つの「正しい姿勢」を保つのではなく、同じ姿勢が長く続かないようにします。
横向きに寝て、股関節と膝を軽く曲げる
両腕を身体の前へ伸ばす
上側の腕をゆっくり反対側へ開く
膝が大きくずれない範囲で、胸を回す
左右5〜8回ずつ行います。腰を強くひねる必要はありません。
手を肩の下、膝を股関節の下につく
息を吐きながら背中をゆっくり丸める
息を吸いながら、反らしすぎない範囲で戻す
5〜8回を目安に行います。深く呼吸しようとして苦しくなる場合は、自然な呼吸で構いません。
壁へ前腕をつける
肩をすくめない範囲で、腕をゆっくり上へ滑らせる
痛みのない位置から元へ戻す
5〜10回行います。肩甲骨を背骨へ寄せて固定せず、腕に合わせて動かします。
胸の高さに固定したチューブを両手で持つ
肩をすくめず、肘を後ろへ引く
胸や腰を反らしすぎず、ゆっくり戻す
8〜12回を1〜3セット行います。肩甲骨を強く寄せ続けることより、腕を引く・戻す動きを滑らかに行うことを優先します。
壁へ両手をつき、身体を少し離す
肘を曲げて身体を壁へ近づける
壁を押して元へ戻る
8〜12回を1〜3セット行います。押す運動でも肩甲骨は動くため、引く運動だけに偏らないようにします。
胸の前でチューブを持つ
肩をすくめず、両腕を左右へ開く
反動を使わず元へ戻す
8〜12回を1〜2セットから始めます。首へ力が集中する場合は、チューブを弱くしてください。
ストレッチと筋力トレーニングの順番は、ストレッチと筋トレはどっちが先?目的別の正しい順番も参考にしてください。
横向き胸椎回旋:左右5〜8回
ウォールスライド:5〜10回
チューブローイング:8〜12回×2セット
壁を使ったプッシュアップ:8〜12回×2セット
会議や作業の区切りで一度立つ
数回、腕を上げ下げする
マウスや画面の位置を調整する
翌日まで強い痛みや疲労が残らない量から始めます。余裕が出てきたら、回数だけでなくチューブの強さやプッシュアップの角度を少しずつ変えます。
写真の見た目や肩の位置が変わるまでの期間には個人差があります。数週間での変化や、巻き肩が再び気にならなくなることを保証するものではありません。
次のような場合は、セルフケアを続ける前に整形外科などへ相談してください。
肩や首の痛みが強い、または次第に悪化している
夜間も肩が痛み、眠れない
腕や手のしびれが続く、範囲が広がっている
腕を上げにくい、力が入らない
握力が低下した、物を落とす、細かな手作業がしにくい
転倒や事故のあとに痛みや動かしにくさが出た
発熱、原因の分からない体重減少、胸の痛みや息苦しさを伴う
日本整形外科学会では、肩腱板断裂で腕を上げるときの痛みや筋力低下が見られること、一過性ではない上肢のしびれは整形外科医へ相談すべきことを案内しています。
STRUCT Conditioningでは、80分の体験セッションで、姿勢・骨格、呼吸、動作、感覚機能の4軸から現在の状態を確認します。巻き肩の唯一の原因を特定するためではなく、どの運動から始めるか、どの程度の負荷が合うか、優先課題を整理するための評価です。
状態に応じて、施術・運動・食事・睡眠・生活習慣支援を組み合わせます。
無料カウンセリングでは肩甲骨や胸郭の身体評価を行いません。約40分の対話を通じて、お悩み、仕事環境、目指したい状態を整理します。身体評価は、その次の80分の体験セッションで行います。
STRUCT Conditioningは医療機関ではなく、病気の診断や治療を行いません。代表の狩野は鍼灸師の国家資格を保有していますが、資格の保有と、施設が医療機関であることは別です。
巻き肩が気になると、胸を伸ばしたり肩を後ろへ引いたりしたくなります。これらが役立つ場面はありますが、肩甲骨は一つの位置へ固定するものではありません。
まず仕事中の固定時間を減らし、胸椎・肩・肩甲骨を動かす。そのうえで、引く運動と押す運動を組み合わせ、仕事や日常生活に必要な筋力を育てます。
見た目だけを直そうとせず、痛みなく腕を動かせること、姿勢を切り替えられることを目標にしてください。
サービスの料金は、料金・プランの最新ページでご確認いただけます。
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狩野 宏多|Kota Karino
STRUCT Conditioning代表トレーナー
鍼灸師 / 日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー / NASM-PES
トレーニング・徒手療法・食事や睡眠など生活習慣指導を包括的に組み合わせたアプローチで、お客様の不調を改善するコンディショニングの専門家。慢性的な痛みや、疲れやすい、体力がないといったお悩みを解消しQOL(生活の質)を向上させます。
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ヒアリング・身体チェック・トレーニング・今後の方針まで一度で行います。
この記事を書いた人
狩野 宏多|Kota Karino
STRUCT Conditioning代表トレーナー
鍼灸師 / 日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー / NASM-PES
トレーニング・徒手療法・食事や睡眠など生活習慣指導を包括的に組み合わせたアプローチで、お客様の不調を改善するコンディショニングの専門家。慢性的な痛みや、疲れやすい、体力がないといったお悩みを解消しQOL(生活の質)を向上させます。
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