「健康のために筋トレを始めたい。でも、ジムに行っても何をどの順番でやればいいのか分からない」
種目を一つずつ調べているうちに、メニューが複雑になってしまう。胸、背中、肩、腕、脚と細かく分けると、週に何日通えばいいのかも分からなくなる——筋トレを始めたばかりの方によくある悩みです。
健康維持のために全身をバランスよく鍛えたいなら、まずは筋トレを「押す・引く・脚」の3つに分けて考えてみてください。
ただし、PPL法はすべての人にとって唯一の正解ではありません。胸や腕を大きくしたい人には、目的に特化した種目数や頻度の調整が必要です。この記事では、見た目を大きく変えるためではなく、日常を快適に過ごせる身体をつくるためのPPL法を紹介します。
PPLは、次の3つの頭文字を取った言葉です。

身体を胸・背中・肩・腕と細かい部位に分けるのではなく、動きの役割で整理することがPPL法の特徴です。
上半身の大きな動きは、物を前へ押す、床から身体を押し上げるといった「押す動き」と、ドアを引く、物を手前へ寄せるといった「引く動き」に大きく整理できます。そこに、立つ、座る、階段を上るといった下半身の動きを加えれば、日常で必要な動作を広くカバーできます。
週3回トレーニングできる初心者なら、Push、Pull、Legsを1日ずつ行います。この3回を順番に繰り返せば、種目選びで迷いにくく、全身を大きく取りこぼさずに鍛えられます。
最初から多くの種目を詰め込む必要はありません。1回3〜4種目、45〜60分ほどを目安に始めます。

腕立て伏せが難しい場合は、壁やベンチに手をつき、身体の角度を起こすと負荷を下げられます。

引く種目では、腕だけで引っ張るのではなく、肩甲骨の動きと背中の力を感じられる負荷から始めます。

下半身はスクワットだけで終わらせず、片脚で身体を支える動きや、もも裏を鍛える種目も入れると、脚全体をバランスよく鍛えられます。
Pushの日には、チェストプレスや腕立て伏せなどを行います。主に大胸筋、肩の前側にある三角筋前部、上腕三頭筋が働き、動作中は体幹も姿勢を支えます。
Pullの日には、ラットプルダウンやローイングなどを行います。広背筋、僧帽筋、菱形筋、三角筋後部、上腕二頭筋など、背中側の筋肉を中心に鍛えられます。デッドリフトなど股関節を使って引く種目では、脊柱起立筋やお尻、もも裏も働きます。
そしてLegsの日に、スクワットやランジ、ヒップヒンジなどを行います。お尻、太ももの前後、ふくらはぎを鍛えることで、上半身だけに偏らないプログラムになります。
つまり、押す・引く・脚を一巡すれば、身体の前後と上下をまんべんなく動かせるということです。
押す種目では、胸だけでなく肩や腕も同時に使います。たとえば腕立て伏せをした翌日に、肩や上腕三頭筋を高い負荷で鍛えると、前日の疲労が残ったまま同じ筋肉を使うことになります。
PPL法なら、押す動きで一緒に働く筋肉をPushの日にまとめられます。その後はPull、Legsへ進むため、同じ筋肉に連日強い負荷をかけにくくなります。
種目を増やしすぎなくても複数の部位を同時に使えるので、限られた時間で全身を鍛えたい人にも向いています。
健康づくりでは、完璧なメニューを一時的に行うことより、無理のない内容を継続することが大切です。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でも、成人と高齢者に筋力トレーニングを週2〜3日行うことが推奨されています。PPL法で週3回を組めば、この頻度の目安にも合わせやすくなります。
「今日は何をするか」を毎回考える必要はありません。前回がPushなら次はPull、その次はLegs。決めた順番を回すだけなので、忙しい人でも迷いが減ります。
たとえば、月曜日をPush、水曜日をPull、土曜日をLegsに設定しても構いません。ただし、仕事が忙しくて土曜日に行けなかったとき、翌週をまたPushから始めると、Legsだけが何週間も抜けてしまいます。
そこで、曜日に種目を固定するのではなく、次の順番だけを守ります。
Push → Pull → Legs → Push → Pull → Legs……
週3回できれば1週間で一巡します。週2回しかできなかった週も、次回は飛ばした続きを行います。これなら予定が崩れても、特定の動きだけが抜け続けるのを防げます。
なお、週2回しか確保できない状態が長く続く場合は、1回で全身を鍛える方法の方が目的に合うこともあります。PPLという名前にこだわるより、自分が継続できる頻度で全身を動かせているかを優先してください。
初心者が最初に決めるべきなのは、限界まで追い込める重さではありません。正しいフォームを保ったまま、最後のセットを終えたときに「あと2〜3回ならできそう」と感じる負荷が目安です。
まずは各種目2セットから始めます。同じ重さで上限回数を余裕を持って行えるようになったら、次回は重さを少しだけ上げます。重さを上げるとフォームが崩れる場合は、回数や負荷を戻してください。
トレーニング前には、軽い有酸素運動や動的ストレッチを5〜10分行い、最初の種目は軽い重さで練習してから本番に入ります。ストレッチの種類と順番については、「ストレッチと筋トレはどっちが先?」でも詳しく解説しています。
PPL法が特に向いているのは、次のような人です。
- 健康維持や体力づくりのために全身を鍛えたい
- 週3回ほど筋トレの時間を確保できる
- 種目選びをシンプルにしたい
- 胸や腕だけでなく、前後・上下をバランスよく鍛えたい
一方で、「胸をもっと大きくしたい」「脚の見た目を重点的に変えたい」「競技のパフォーマンスを上げたい」といった明確な目標がある場合は、その部位や動作に合わせて、頻度、種目、セット数を調整する必要があります。
また、肩や腰、膝に痛みがある人は、一般的なメニューをそのまま当てはめないでください。痛みがあるのに我慢して続けるのではなく、現在の可動域や動作を確認し、必要に応じて医療機関や運動指導の専門家へ相談することが先です。
健康維持のための筋トレは、複雑である必要はありません。
1. 上半身はPush(押す)とPull(引く)に分ける
2. Legs(脚)でスクワット、片脚種目、もも裏のトレーニングを行う
3. 週3回を目安に、曜日ではなくPPLの順番を回す
4. 1回3〜4種目、各2セット、「あと2〜3回できる」負荷から始める
5. 見た目や競技など明確な目的がある場合は、個別にプログラムを調整する
PPL法の良さは、特別な種目にあるのではなく、全身の動きをシンプルに整理し、続けやすくすることにあります。
ただし、同じメニューでも、身体の状態によって適切なフォームや負荷は変わります。「何から始めればいいか分からない」「痛みや動きにくさがあって不安」という方は、現在の身体を評価したうえでプログラムを組むことをおすすめします。
STRUCT Conditioningでは、体力、関節の動き、姿勢、生活リズムを確認し、健康維持のために無理なく続けられるトレーニングをご提案しています。
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狩野 宏多|Kota Karino
STRUCT Conditioning代表トレーナー
鍼灸師 / 日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー / NASM-PES
トレーニング・徒手療法・食事や睡眠など生活習慣指導を包括的に組み合わせたアプローチで、お客様の不調を改善するコンディショニングの専門家。慢性的な痛みや、疲れやすい、体力がないといったお悩みを解消しQOL(生活の質)を向上させます。
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この記事を書いた人
狩野 宏多|Kota Karino
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