「写真に写った自分の背中が、以前より丸く見える」
「背筋を伸ばしても、仕事に集中すると元へ戻ってしまう」
40代になり、猫背が気になり始めた方は少なくありません。ただし、年齢だけで猫背になるわけではなく、長時間のデスクワーク、運動量の変化、筋力や可動性、仕事内容、疲労などが重なっている場合があります。
また、猫背は一つの決まった状態ではありません。頭が前へ出ている、肩が内側へ向いている、胸の背骨が丸く見えるなど、人によって目立つ部分は異なります。
そのため、「胸を張る」「背筋だけを鍛える」といった一つの方法ではなく、現在の状態を確認し、動かす・支える・日常で使うという順番で取り組むことが大切です。
この記事では、40代が姿勢改善トレーニングを始めるときの全体的な進め方を紹介します。
猫背の記事では、呼吸が浅い、胸椎が硬い、背中の筋力が弱いといった説明がよく見られます。これらが関係する方はいますが、全員に共通する原因ではありません。
たとえば、胸椎が十分に動いても、長時間画面をのぞき込む仕事をしていれば姿勢は丸くなります。筋力があっても、疲れたときやリラックスしているときには背もたれへ寄りかかります。前かがみになること自体も、直ちに悪いわけではありません。
猫背を改善するときは、見た目だけでなく次の要素を分けて考えます。
動かしやすさ:首、肩、胸椎、股関節などを無理なく動かせるか
支える力:背中や肩まわりだけでなく、体幹や下半身にも必要な筋力があるか
作業環境:画面、机、椅子の位置や、座り続ける時間はどうか
活動量と回復:運動量、睡眠、疲労、ストレスに変化はないか
痛みや神経症状:運動より受診を優先すべき状態ではないか
猫背に対して胸を張り続けることの問題点は、猫背改善に「胸を張る」は逆効果|姿勢を決める本当の要素で詳しく解説しています。
セルフチェックは、猫背の原因を診断するものではありません。どの動作が行いやすく、どこで違和感が出るかを知るために使います。
普段どおりに立ち、目線を正面へ向けて横から写真を撮ります。胸を張ったり、あごを強く引いたりしないことがポイントです。
頭、肩、胸、骨盤の位置を確認します。ただし、「耳と肩が一直線でなければ異常」と判定する必要はありません。1〜2か月後に同じ場所・同じ条件で撮影し、変化を見るための記録にします。
両足を床につけ、腕を胸の前で組みます。骨盤を大きく動かさない範囲で、上半身を左右へゆっくり回します。
左右差、背中の動かしにくさ、痛みの有無を確認してください。無理に可動域を広げる必要はありません。
壁に背中を軽くつけ、痛みのない範囲で両腕を上げます。
腕を上げると腰を強く反らす、肩がすくむ、左右差が大きい場合は、肩や胸椎の動かし方を見直す手がかりになります。頭や腕を無理に壁へ押しつけないでください。
セルフチェック中に痛みやしびれが出る場合は中止します。
運動によって、前方頭位、巻き肩、胸椎後弯などの姿勢指標が変化する可能性は、複数の系統的レビューで報告されています。一方で、研究対象や運動内容はさまざまで、長期的な効果や最適な種目はまだ明確ではありません。
次の3段階は絶対的な順番ではなく、取り組みやすい全体像です。実際には、複数の段階を並行して進めます。
最初は、首や肩だけでなく胸椎を動かします。
横向きに寝て、股関節と膝を軽く曲げる
両腕を身体の前へ伸ばす
上側の腕をゆっくり反対側へ開く
膝が大きくずれない範囲で、胸を回す
左右5〜8回ずつから始めます。腰を強くひねる必要はありません。
手を肩の下、膝を股関節の下につく
息を吐きながら背中をゆっくり丸める
息を吸いながら、反らしすぎない範囲で元へ戻す
5〜8回を目安に、首や腰へ痛みが出ない範囲で行います。
呼吸を合わせると動きやすい方はいますが、「横隔膜を使えなければ猫背が改善しない」という意味ではありません。呼吸を意識すると苦しくなる方は、自然な呼吸で構いません。
ストレッチだけでなく、姿勢を変えながら動くための筋力も必要です。2024年の系統的レビューでは、姿勢指標に対して、ストレッチ単独より筋力トレーニングを含む介入を支持する結果が報告されています。
胸の高さに固定したチューブを両手で持つ
肩をすくめず、肘を後ろへ引く
胸を反らしすぎず、ゆっくり元へ戻す
8〜12回を1〜3セット行います。チューブがなければ、ジムのローイングマシンでも構いません。
壁へ両手をつき、身体を少し離す
頭からかかとまでを大きく崩さず、肘を曲げる
壁を押して元へ戻る
8〜12回を1〜3セット。慣れたら机、ベンチ、床の順に負荷を調整します。
足を腰幅程度に開いて椅子へ座る
足裏で床を押し、立ち上がる
ゆっくり椅子へ戻る
8〜12回を1〜3セット行います。猫背改善を上半身だけの課題にせず、全身の基礎体力も育てます。
巻き肩が気になる方は、巻き肩の原因と改善|デスクワーカーのための実践ガイドも参考にしてください。
運動の時間だけ姿勢を変えても、残りの時間を同じ姿勢で過ごせば、仕事中の感覚は変わりにくいことがあります。
会議が終わるたびに一度立つ
電話中は可能なら歩く
背もたれを使う時間と、前へ座る時間を分ける
ノートPCでは外付けキーボードや台を使う
昼休みに数分歩く
「良い姿勢を維持する」のではなく、姿勢の選択肢を増やすことが目的です。
ストレッチと筋トレを同じ日に行う順番で迷う方は、ストレッチと筋トレはどっちが先?目的別の正しい順番をご覧ください。
運動習慣がない方は、最初から毎日すべてを行う必要はありません。
横向き胸椎回旋:左右5〜8回
四つ這いで背中を動かす:5〜8回
椅子からの立ち座り:8〜12回×1〜2セット
横向き胸椎回旋:左右5〜8回
チューブローイング:8〜12回×2セット
壁を使ったプッシュアップ:8〜12回×2セット
椅子からの立ち座り:8〜12回×2セット
週2〜3回を目安に、翌日まで強い痛みや疲労が残らない量から始めます。余裕が出てきたら、回数だけでなくチューブの強さや動作の難易度を少しずつ上げます。
体調、運動経験、痛みの有無によって適切な量は異なります。4週間で見た目が変わることを保証するプログラムではありません。
40代だから高い負荷を避けるべき、とは限りません。運動経験が少ない方は軽い負荷から始め、慣れている方は適切な強度を使います。年齢ではなく、現在の体力、既往歴、運動後の反応で調整します。
あごを強く引く、胸を反らす、肩甲骨を寄せ続けるといった方法で、痛みや頭痛が出る場合があります。「効いている証拠」と考えず、いったん中止してください。
姿勢の見た目は、撮影角度、服装、疲労、意識によって変わります。写真に加えて、首や肩の動かしやすさ、仕事中に姿勢を変えられる回数、トレーニング重量なども記録すると、変化を捉えやすくなります。
見た目の猫背だけであれば、必ずしも医療機関の受診が必要とは限りません。ただし、次のような場合は運動よりも整形外科などへの相談を優先してください。
首、背中、肩の強い痛みがある、または次第に悪化している
腕や手のしびれが続く、範囲が広がっている
握力が落ちた、物を落とす、ボタンや箸の操作がしにくい
腕や脚に力が入りにくい
歩くと脚がもつれる、階段で手すりが必要になった
転倒や事故のあとに姿勢の変化や痛みが出た
発熱、原因の分からない体重減少、安静時や夜間にも続く痛みがある
日本整形外科学会も、一過性ではない上肢のしびれは放置せず整形外科医へ相談するよう案内しています。手先の不器用さ、手足のしびれ、歩きにくさは、頚椎の病気でも見られる症状です。
症状に不安がある場合は、セルフチェックやトレーニングで判断せず、医師へ相談してください。
STRUCT Conditioningでは、80分の体験セッションで、姿勢・骨格、呼吸、動作、感覚機能の4軸から現在の状態を確認します。猫背の唯一の原因を特定するのではなく、どの動作から始めるか、どの程度の負荷が合うか、優先課題を整理するための評価です。
状態に応じて、施術・運動・食事・睡眠・生活習慣支援を組み合わせます。STRUCT Conditioningは医療機関ではなく、病気の診断や治療を行いません。代表の狩野は鍼灸師の国家資格を保有していますが、資格の保有と、施設が医療機関であることは別です。
無料カウンセリングでは身体評価を行いません。約40分の対話を通じて、姿勢について困っている場面や目標、これまで試した方法を整理します。身体評価は、その次の80分の体験セッションで行います。
40代の猫背改善では、呼吸、胸椎、筋力のどれか一つを全員共通の原因にする必要はありません。
まず現在の動かしやすさを確認し、痛みのない範囲で動かす。次に、肩まわりと全身の筋力を育てる。そして仕事中にも姿勢を変える機会をつくる。この流れを、自分の状態に合わせて組み合わせます。
猫背を一日中まっすぐな形へ固定するのではなく、必要に応じて姿勢を変えられる身体を目指しましょう。
サービスの料金は、料金・プランの最新ページでご確認いただけます。
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狩野 宏多|Kota Karino
STRUCT Conditioning代表トレーナー
鍼灸師 / 日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー / NASM-PES
トレーニング・徒手療法・食事や睡眠など生活習慣指導を包括的に組み合わせたアプローチで、お客様の不調を改善するコンディショニングの専門家。慢性的な痛みや、疲れやすい、体力がないといったお悩みを解消しQOL(生活の質)を向上させます。
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この記事を書いた人
狩野 宏多|Kota Karino
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