「また、ぎっくり腰になった」
「痛みが落ち着くたびに普通の生活へ戻るけれど、数か月後に繰り返す」
ぎっくり腰への不安があると、物を持つ、前へかがむ、運動するといった動作を避けたくなることがあります。
ただし、「ぎっくり腰」は急に起こる強い腰痛の通称であり、病名や診断名ではありません。筋肉や靱帯、関節、椎間板などが関係する腰痛のほか、神経の圧迫、骨折、感染症などが隠れている場合もあります。
まずは、運動より受診を優先すべき症状がないかを確認してください。
次のような場合は、自己判断でストレッチや筋力トレーニングを行わず、整形外科などの医療機関へ相談してください。
経験したことのない強い痛み、または日ごとに悪化する痛みがある
安静にしていても軽くならない、夜間も強く痛む
発熱、悪寒、原因の分からない体重減少を伴う
転倒、事故、重い物を持った直後など、明らかな外傷を伴う
脚の痛みやしびれが続く、範囲が広がっている
脚に力が入りにくい、つまずく、歩きにくい
がん、感染症、骨粗しょう症などの既往がある
次の症状は緊急性がある可能性があります。速やかに医療機関へ相談し、急な症状や強い症状では救急受診も検討してください。
尿が出にくい、尿や便を漏らすなど、排尿・排便の急な異常
股の間や肛門まわりの感覚が鈍い
両脚のしびれや筋力低下が急に現れた、または悪化している
日本整形外科学会も、通常ではない強い腰痛や、脚の痛み・しびれ・筋力低下を伴う場合は、重大な病気を見逃さないために整形外科を受診するよう案内しています。
再発の理由を「反り腰だから」「腹筋が弱いから」「股関節が硬いから」と説明されることがあります。これらが関係する人はいますが、全員に共通する原因ではありません。
腰痛再発に関する系統的レビューでは、過去にも腰痛を経験していることが、再発と一貫して関連する要素として報告されています。一方、誰がいつ再発するかを正確に予測できる要因は、十分に確立されていません。
繰り返す腰痛では、次のような要素を組み合わせて考えます。
過去の腰痛やぎっくり腰の回数
痛みが出る前の仕事量、運動量、持ち上げ動作
普段の活動量と、急に増えた負荷との差
腰、股関節、胸椎などの動かしやすさ
日常生活や仕事に必要な筋力・持久力
睡眠時間と回復感
ストレス、痛みへの不安、動作を避ける傾向
既往歴、服薬、体調の変化
痛みが落ち着いたからといって、身体に問題が残っていると断定することはできません。反対に、痛みがなくなった直後に、休む前と同じ仕事量やトレーニング量へ一気に戻れば、負荷の変化へ対応できない場合があります。
大切なのは「まだ治っていない」と不安になることではなく、現在できる活動を確認し、段階的に元の生活へ戻すことです。
慢性的な腰痛とデスクワークの関係は、デスクワークの慢性腰痛がマッサージで戻る理由で詳しく解説しています。
ぎっくり腰になった直後は、「硬いから伸ばさなければ」「腹筋を鍛えなければ」と考え、強いストレッチや筋力トレーニングを行いたくなるかもしれません。
しかし、急性の非特異的腰痛に対する運動療法の2024年の系統的レビューでは、特定の運動が通常のケアなどより明確に優れているとは言い切れません。強い痛みがある時期に、決まった運動を無理に行う必要はありません。
まずは受診が必要な症状を確認し、医師から指示を受けている場合はそれに従います。そのうえで、楽な姿勢を探し、トイレや食事など必要な動作を、できる範囲で行います。
長時間の寝たきりを一律に勧めるものではありませんが、「動いたほうがよい」という言葉を、痛みを我慢して運動する意味に捉えないでください。急性期の過ごし方は、痛みの強さや原因によって異なります。
ここからは、強い痛みが落ち着き、受診が必要な症状がないことを確認した後の進め方です。日数だけで区切らず、「その動作を行ったときと翌日に、状態が大きく悪化しないか」を見ながら進みます。
最初はトレーニングよりも、生活に必要な動作を少しずつ戻します。
室内を短く歩く
椅子から立つ、座る
洗面や着替えをできる範囲で行う
同じ姿勢を長く続けず、横になる・座る・立つを切り替える
一度にまとめて動くのではなく、短い活動を複数回に分けます。動作中に脚のしびれや力の入りにくさが出た場合は中止し、医療機関へ相談してください。
室内の移動ができるようになったら、短い散歩や買い物などへ範囲を広げます。
たとえば5〜10分の歩行から始め、当日と翌日の反応を確認します。問題がなければ、時間や回数を少しずつ増やします。距離や速度を毎回伸ばす必要はありません。
2024年のランダム化比較試験では、個別に調整した段階的な歩行と教育を組み合わせることで、腰痛再発までの期間を延ばしたことが報告されています。ただし、歩行だけで再発を防げると保証するものではありません。
歩行や日常動作が安定してきたら、軽い運動を追加します。
足を腰幅程度に開いて椅子へ座る
足裏で床を押し、立ち上がる
ゆっくり椅子へ戻る
5〜10回を1〜2セットから始めます。
壁へ背を向け、少し離れて立つ
膝を軽く曲げ、お尻を壁へ近づける
腰を固めすぎず、股関節から身体を傾ける
5〜8回から始めます。床の物を拾う、荷物を持つ動作の準備になります。
低い段差へ片足ずつ上り、ゆっくり下ります。左右5〜8回ずつ行い、脚と全身の筋力を戻します。
運動中に軽い違和感があっても必ず損傷を意味するわけではありませんが、痛みが強くなる、脚の症状が出る、翌日まで明らかな悪化が続く場合は、量や種目を見直してください。
腰痛があるときに筋力トレーニングを始めてよいか迷う方は、腰痛でも筋トレしていい?運動を始めるときの考え方をご覧ください。
基本運動が安定したら、実際に必要な動作へ近づけます。
軽い荷物から持ち上げる練習をする
スクワット、ローイング、押す運動などを組み合わせる
座る、立つ、歩く時間を仕事に合わせて延ばす
趣味やスポーツの動きを、強度を下げて再開する
重量、回数、時間を同時に増やさず、一つずつ調整します。再発予防は、腰を一切動かさないことではなく、必要な負荷へ対応できる範囲を少しずつ広げることです。
ぎっくり腰が起きた瞬間だけを見ても、理由が分からないことがあります。重い物を持った日だけでなく、その前の1〜2週間も振り返ります。
残業や会議が増えて、座る時間が長くなっていなかったか
睡眠時間が短くなっていなかったか
休日に急に長時間運動しなかったか
出張、引っ越し、育児などで持ち上げ動作が増えていなかったか
痛みへの不安から活動量が大きく減っていなかったか
長時間座ることだけでなく、生活全体の負荷を整理したい方は、長時間座ると腰や身体が痛くなる理由も参考にしてください。
負荷を完全になくすのではなく、急な増減を小さくし、睡眠や休息を含めて調整します。
STRUCT Conditioningでは、強い急性痛や受診目安に該当する症状がある場合、トレーニングを優先せず医療機関への相談をおすすめします。
安全に進められる状態を確認した後、80分の体験セッションで、姿勢・骨格、呼吸、動作、感覚機能の4軸から身体を評価します。ぎっくり腰の病名を診断したり、唯一の原因を特定したりするものではありません。
過去の腰痛、痛みが出た場面、仕事や活動量、睡眠、動かしやすさ、筋力などを確認し、関係する要因と優先課題を整理します。そのうえで、状態に応じた施術と運動を行い、食事・睡眠・生活習慣も必要に応じて支援します。
無料カウンセリングでは身体評価を行いません。約40分の対話を通じて、現在の症状、受診状況、困っている動作、目指したい状態を整理します。身体評価は、その次の80分の体験セッションで行います。
STRUCT Conditioningは医療機関ではなく、診断や治療を行いません。代表の狩野は鍼灸師の国家資格を保有していますが、資格の保有と、施設が医療機関であることは別です。
前職時代に担当した、50代の会社員の事例です。
過去に急な腰痛を繰り返し、痛みが落ち着くと活動を再開するものの、長時間の外出や仕事が続くと再び不安を感じていました。
急性の強い痛みがない時期に、過去の経過、仕事量、歩行量、睡眠、股関節や胸椎の動かしやすさ、全身の筋力を確認しました。短い歩行と基本動作から始め、体調を見ながら全身の筋力トレーニング、荷物を持つ動作へ段階的に進みました。
数か月後には、その日の状態に合わせて活動量や運動を調整できる場面が増え、長時間の外出に対する不安も以前より小さくなったと話されていました。
感じられる変化や必要な期間には個人差があり、再発しないことや同様の結果を保証するものではありません。
ぎっくり腰を経験した後に必要なのは、身体に問題が残っていると決めつけることでも、すぐに強い運動を始めることでもありません。
まず受診が必要な症状を確認する。強い痛みが落ち着いたら、基本的な日常動作、歩行、軽い筋力トレーニング、仕事や趣味の負荷へと段階的に戻します。
過去の腰痛、活動量、直前の負荷、睡眠、ストレス、身体機能などを一緒に振り返り、自分で調整できる選択肢を増やすことが、再発予防の中心です。
サービスの料金は、料金・プランの最新ページでご確認いただけます。
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狩野 宏多|Kota Karino
STRUCT Conditioning代表トレーナー
鍼灸師 / 日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー / NASM-PES
トレーニング・徒手療法・食事や睡眠など生活習慣指導を包括的に組み合わせたアプローチで、お客様の不調を改善するコンディショニングの専門家。慢性的な痛みや、疲れやすい、体力がないといったお悩みを解消しQOL(生活の質)を向上させます。
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この記事を書いた人
狩野 宏多|Kota Karino
STRUCT Conditioning代表トレーナー
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